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🐝初心者でも始められる日本蜜蜂の飼育完全ガイド

日本蜜蜂の丸洞巣箱の採蜜

目次

  1. 日本蜜蜂の特徴
  2. 巣箱の種類と飼育方法(丸洞巣箱・重箱式巣箱)
  3. 採蜜方法
  4. 分蜂群の捕獲と管理
  5. 待ち受け箱の設置
  6. 便利な道具と装備
  7. 飼育カレンダー

1. 日本蜜蜂の特徴

日本蜜蜂は、日本在来の蜜蜂で、西洋ミツバチと比較して以下のような特徴があります

  • サイズ:西洋ミツバチより小さい(体長約12mm)
  • 性格:比較的温和で攻撃性が低い
  • 耐病性:国内の環境に適応し、病気への抵抗力が強い
  • 採蜜量:西洋蜜蜂より少ないが、風味豊かな蜂蜜を生産(年に1度か2年に1度しか採れない)
  • 採餌範囲:巣から約300~500m
  • 越冬能力:日本の気候に適応し、少ない蜂数でも越冬可能(給餌などが必要

2. 巣箱の種類と飼育方法

巣箱の種類と飼育方法

丸洞巣箱

丸洞巣箱は、日本蜜蜂の自然な生態に近い環境を再現した伝統的な巣箱です。

撮蜜が少し大変ですが、自然入居しやすい

特徴

  • 自然木を加工したもの、または人工的に作られた丸い筒状の箱
  • 内部構造がシンプルで、蜂が自然な形で巣を作る
  • 蜂の自然な生態に近く、介入が少ない飼育が可能

構造

  • 直径約30cm、長さ60~70cmの円筒形
  • 前部に蜜蜂の出入り口(巣門)があり
  • 雨よけの屋根を設置

飼育方法

  1. 設置場所
    • 日当たりが良く、風通しが適度な場所
    • 地面から30~100cmの高さに設置
    • 巣門は南東向きか、東南が理想的
  2. 導入方法
    • 分蜂群の捕獲により導入(強制捕獲)
    • または誘引巣箱として設置し、自然入居を待つ(自然入居)
    • 分蜂群を買う方法もある(養蜂家に相談、買い取り)
  3. 管理方法
    • 基本的に介入は最小限に
    • 定期的な外観チェック(2週間に1回程度)
    • 夏場は遮光や通気に注意
    • 冬は防寒対策(藁や断熱シートで巻くなど)
  4. 観察のポイント
    • 巣門での活動状況(働き蜂の出入りの様子)
    • 花粉を持ち帰る蜂の数
    • 異常な死骸の有無

重箱式巣箱

重箱式巣箱は、日本の伝統的な重箱をモデルにした巣箱で、管理や採蜜がしやすい設計になっています。

特徴

  • 同じサイズの箱を積み重ねる構造
  • 下部から順次追加していく方式
  • 採蜜時に上部の箱だけを取り外せる

構造

  • 内寸が一辺約22cm、外寸29cm、高さ約15cmの正方形の箱 (サイズが大き過ぎると中々採蜜出来ない事も)
  • 通常4~5段重ねて使用
  • 最上部に屋根、スノコ、最下部に入り口7mmの隙間が空いた箱、底板

飼育方法

  1. 初期設置
    • 最初は2~3段の重箱を設置
    • 巣脾が7割程度まで発達したら新しい箱を下に追加
  2. 増段のタイミング
    • 最下段の巣が7~8割埋まったら増段
    • 春から夏にかけての蜜源が豊富な時期に増段
  3. 日常管理
    • 巣門の前の活動観察(1日に1回)
    • 巣箱内部の様子は底から観察(1週間に1回程度)
    • 強風や雨への対策(重しや雨よけの設置)紐、ロープなどで倒れないように固定
  4. 季節ごとの管理
    • :花粉や蜜の収集開始、分蜂への備え
    • 暑さ対策(日陰や通気性確保)
    • 採蜜後の給餌や越冬準備
    • 保温対策(断熱材や藁で覆うなど)
  5. 巣箱の拡張
    • 春から夏:最下部に新しい空の箱を追加
    • 秋から冬:不要な箱を取り除き、保温性を高める

左から重箱式巣箱

鉄製台を置くことで内見がしやすくなるのと掃除がしやすい

真ん中と右 丸同式巣箱

日本蜜蜂が好むタイプ 自然入居がしやすい 手がかからない 採蜜が少し困難

3. 採蜜方法

採蜜の適期

  • 時期:主に5~6月(春蜜)と9~10月(秋蜜)
  • 天候:晴れた暖かい日の午前中が理想的
  • サイン:巣蜜の白い蓋がけ(蜜蓋)が7割以上の状態(側面を叩いて蜜の詰まり具合を確かめる

丸洞巣箱での採蜜

  1. 準備
  • 防護服、燻煙器、蜜切りナイフ、受け容器を用意
  • 蜂を落ち着かせるため、軽く燻煙を焚く
  1. 採蜜手順
  • 胴の上に2段くらい繋げた空の箱を置き、中の蜂を空の箱へ誘導
  • 胴の周りを軽く叩きながら誘導を促す
  • 巣の1/3程度までを目安に端から切り取る(縦1~2枚)
  • 巣を切り取った部分には空間を残し、垂れた蜜などは綺麗に拭き取る
  1. ポイント
  • 縦一枚で取り出す(育児しない秋時期に採蜜する方が良い)
  • 一度に取りすぎない(全体の1/3程度まで)越冬する為の餌となる蜜を残してあげないと群が死滅してしまう
  • 垂れた蜜などは綺麗に拭き取るなど綺麗にしないとスズメバチ、蟻などから攻撃されやすくなる

重箱式巣箱での採蜜

  1. 準備
  • 採取した蜜を入れる清潔な容器(蓋付き)
  • 防護服、小型ブロワー、箱切り糸、蜜分離用道具
  1. 採蜜手順
  • 箱の側面を叩いて蜂を下の方に誘導する
  • 最上段の重箱を切り離す(ワイヤーなどで切り離すと楽)
  • 箱が入る清潔な蓋の付いた容器などを用意しておく(箱に入れたらすぐに蓋を被せないと蜜蜂が侵入してくる)
  • スノコや蓋を被せて元の状態に戻す
  • 取り外した箱内の巣板を採取
  1. ポイント
  • 最上段のみ採取し、下部の育児圏は残す
  • 採蜜前に空の箱を最下部に追加

巣蜜の処理方法

  1. 巣蜜のまま保存
  • 巣ごと適当な大きさに切り分ける
  • 清潔な容器に入れて冷暗所で保存 (煮沸消毒済みの容器瓶など
  1. 搾り蜜にする場合
  • 巣を細かく砕き、こし器やガーゼ、濾過ネットの中に入れ圧搾機などで絞り出す
  • 清潔な容器に移し替え、冷暗所で保存
  1. タレ蜜にする場合
  • 採取した蜜の蓋をナイフなどで両面カットし、濾過ネットを被せた容器に入れて自然に垂れてくるのを待つ
  • 清潔な容器に移し替え、冷暗所で保存
  1. 注意点
  • 加熱処理はしない(栄養価や風味が損なわれる)
  • 結晶化しても品質に問題なし(ブドウ糖が多い蜜ほど結晶化しやすい)
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4. 分蜂群の捕獲と管理

分蜂群の特徴と時期

  • 時期:主に4~6月
  • 前兆:王台(新しい女王蜂を育てる特別な巣房)の形成、雄蓋の落下
  • 現象:女王蜂と働き蜂の一群が巣から飛び出し、近くの枝などに一時集合

強制捕獲の方法

  1. 準備物
  • 捕獲用の箱または袋、防護服一式、蜂蜜、枝切りバサミ、はしご
  1. 捕獲手順
  • 安全確認→枝ごと切るかネットで掬う→蜂蜜を塗った箱に誘導→蓋をして巣門のみ開放
  • 蜜蝋を側面に塗った箱(よく乾燥した箱や古いものを好む)2〜3段用意しておく
  1. ポイント
  • 女王蜂を確実に捕獲する
  • 捕獲直後は極力移動させない
  • 働き蜂が巣箱に入る様子で女王蜂の有無を判断

捕獲時の安全確保と近隣への配慮

  1. 安全確保
  • 防護服着用、複数人で作業、真下に立たない、アレルギー対策
  • 寒い時期は攻撃制が高まるので注意
  • 内見する時は防護服とゴム手袋を着用すること
  1. 近隣への配慮
  • 事前説明、自治体への連絡、見物人対応、捕獲後の確認
  1. 緊急時の対応
  • 刺傷の応急処置、医療機関の確認、高所作業の転落防止 (刺されたらすぐに蜂の針をピンセットなどで抜く事)

捕獲後の管理

  1. 移送
  • 日没後に全蜂が入ったのを確認して巣門を閉じ移動
  • 200m以内の移動は工夫が必要(中継移動)
  1. 新居への定着
  • 新しい設置場所で巣門を開放、最初の1週間は逃去に注意
  1. 逃去防止の工夫
  • 蜜蝋や古巣、給餌、水場の確保、巣箱の快適さを整備
  1. 定着確認のサイン
  • 花粉の持ち帰り、造巣、産卵、清掃行動
  1. 捕獲後の発展段階
  • 1〜3日目:外部観察のみ、4〜7日目:短時間の内検可、1〜2週:産卵確認、3〜4週:新しい働き蜂の誕生
  • 底板の掃除などをしてスムシ被害対策を定期的に行う

5. 初心者が陥りやすい失敗と対策

1. 過剰な内検

  • 問題:ストレスによる逃去
  • 対策:最初の1週間は外部観察のみ、内検は最小限

2. 不十分な給餌

  • 問題:蜜源不足による逃去や餓死
  • 対策:初期は継続的に砂糖水を給餌

3. 不適切な設置場所

  • 問題:直射日光や強風(適切な場所選びが必要)
  • 対策:適度な日陰と風よけのある場所を選ぶ

4. 早すぎる巣箱移動

  • 問題:蜂の混乱
  • 対策:日没後まで待つ。可能であれば数日間設置場所を維持

初心者向け採蜜のルール

  • 初年度は採蜜を控えめに、常に余裕を持った量を残す、採蜜後の群れ観察、不安な場合は経験者に相談
  • 春に迎えた新しい群の採蜜は1年先伸ばしたほうがいい

蜜不足時の対応

  • 活動低下が見られたら砂糖水(2:1)を給餌
  • 給餌器の利用(自作も可能)

スムシ被害

  • 底板掃除などが不十分だと群の数などが少ない群は被害にあう事があるので定期的に掃除などを手伝ってあげる事

6. 便利な道具と装備

  • 巣箱(丸洞式・重箱式)
  • 防護服、燻煙器、観察用カメラ
  • 糖度計、記録ノート、砂糖水給餌器
  • 巣板・蜜蝋、誘引剤、網やネット、刷毛

7. 飼育カレンダー

作業内容
3〜4月巣箱設置、誘引準備、分蜂の兆候観察
5〜6月分蜂捕獲、定着観察、給餌と見守り
7〜8月暑さ対策、遮光と通気確保、巣落ち防止
9〜10月採蜜、砂糖水給餌、越冬準備
11〜2月冬越し管理、外部からの見守りのみ

✅まとめ

  • 日本蜜蜂は自然と共生するスタイルで初心者にも最適
  • 丸洞式と重箱式の巣箱を理解して使い分け
  • 分蜂群の捕獲と定着には段階的な対応が必要
  • 採蜜は慎重に行い、群れの健康を最優先
  • 安全・環境・給餌・管理の工夫が、長く付き合うためのカギ

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著者紹介

\ 島で自然と共に暮らす養蜂家 /
(Unimama)
長崎県・対馬で日本蜜蜂の養蜂を楽しむ50代主婦。自然と共に暮らすライフスタイルを発信中。ブログでは「日本蜜蜂の飼い方」「島の手づくり暮らし」「釣りと海の恵み」をテーマに、素朴で豊かな暮らしをお届けしています🐝🌿

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🐝次回のvlogでは、手作り「蜜蝋」の作り方をお届けします♪
自然素材で楽しむ暮らしのヒントを、どうぞお楽しみに!

日本蜜蜂の丸洞巣箱の採蜜

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